先述記事について
先述記事「お願いだから、虐待するのは、もうやめてくれ💢」「虐待は、実際に増えているのか?」では、賛否含めて実に大きな反響をいただいた。
nue-childcare.hatenablog.com
痛ましい事件に対しての感情的な記事ではあったが、共感をいただけたのは、お子様を育てていらっしゃる多くのママ・パパが同じように感情の高ぶり、怒りをお持ちであったからではないかと推察する。
一方で、(私としては)残念ではあるのの、
- いじめと同じくして、虐待も人間の本能である…
- 感情的に意見をいったところで、世の中は変わらず、一定発生する…
といったご意見も多くいただいた。
記事「虐待は、実際に増えているのか?」で記載する通り、表面的には「虐待」は年々増加傾向にあるものの、本質的には検知件数が増えているだけであって、昔からあったことと想像する。そこには人間の本能的な「何か」があるかもしれないという疑念からのアプローチしてみることにする…。
「虐待」はどうして起きるのか?
私自身も息子と接していてイライラすることも多々あり、また妻は過去育児ストレスを抱えたこともある(記事「妻の啜り泣き」参照)ことから、様々な専門的見地のある記事をまとめてみた。
allabout.co.jp
(1) 保護者側のリスク要因
妊娠、出産、育児を通して発生するもの、保護者自身の性格や、精神疾患などの心身の不健康から発生するもの
- 望まない妊娠で、妊娠そのものを受け入れられない
- 生まれた子どもに愛情を持てない
- 保護者が未熟で、育児不安、ストレスが蓄積しやすい
- マタニティブルー、産後うつ病、精神障害、知的障害、慢性疾患、アルコール依存、薬物依存等により、心身が不安定になりやすい
- 保護者自身が虐待経験を持っている
- 攻撃的な性格、衝動的な性格
(2) 子どもの側のリスク要因
手がかかる乳児期の子ども、未熟児、障害児などのほか、子どもの側に何らかの育てにくさがある場合など
(3) 養育環境のリスク要因
複雑で不安定な家庭環境や家族関係、夫婦関係、社会的孤立や経済的な不安、母子の健康保持・増進に努めないことなど
- 家族や同居人、住む場所が変わるなど、生活環境が安定しない
- 家庭内で、夫婦の不和やDVが起こっている
- 親戚や地域と関わりを持たず、孤立している
- 失業や仕事が安定しないなどで、経済的に行き詰っている
- 母子共に必要な定期健診を受けていない
mamamemo.info
まず一つ目の事実として年間亡くなっている子どもの約半数の数は親と共に命を落としているということです。つまり心中です。児童虐待という言葉を聞いて親が一方的に子どもを苦しめていると考えている方も多いと思います。しかし実際は親も苦しんでいます。心中は事件性がないためかなかなかニュースでは扱われません。だからこそ隠れた事実ですが、苦しみ抜いた末に起きてしまった悲しい事故の場合もあります。
また、児童虐待が行われる家庭の状況として調査がされました。なんと1位はひとり親家庭。育児の疲れから子どもに対して手を出してしまう人が多いのかと思われがちですが、実際は育児疲れは5位でした。ではなぜひとり親家庭(主に母子家庭)では虐待が行われる状況にあるのでしょうか。その答えは貧困です。日本における母子家庭の貧困率は、驚くことに66%もあります。貧困になればどうなるのでしょう。子どもにご飯を与えることができません。つまりネグレクトの状態に落ちいります。貧困の状況が児童虐待の要因になるということがわかりますね。
そして、心中をしてしまう家庭と貧困状況にある家庭と共通いえる要因があります。それは、社会から孤立された家庭が多いということです。社会からの孤立してしまった家庭は誰にもSOSを送り出すことができません。その結果、一人で家庭の中に閉じこもってしまいます。
www.yomidr.yomiuri.co.jp
実際に望まぬ妊娠は、妊婦健診を受けていなかったケースや自分自身が虐待を受けていたケース同様虐待の危険因子なので、子供の立場に立てば責任を持って育てる覚悟がなければ妊娠すべきでないと思います。また、女性自身にとっても、自主的に望んで妊娠すべきだというのはウィメンズヘルス(女性の健康)の大原則です。
しかし、望んだ妊娠であれば虐待しないということではありません。不妊治療により授かった子供が虐待されやすいということも言われています。危険因子の有無はあれど、妊娠する前に子供を虐待する女性を判別するのは不可能です。それは父親となる男性も同じです。
労働政策研究・研修機構の調査によれば、母親の8人に1人は自分が虐待しているのではないかと思い悩んだことがあるそうです。育てやすい子供ばかりではありませんし、子育ての向き不向きもあると思います。
産んだからと言って無条件に子供がかわいいと思えるとは限りません。母親の約3割が子供をかわいいと思えないと悩んだことがあり、1割以上が産後うつ病になると言われています。赤ちゃんを出産すれば自然と「母性」が湧いてきて、どんな苦しみにも耐えられるようになるというのは幻想です。
虐待の背景には社会的なものをはじめ様々な要因があると思いますが、母親が余裕を持って子供に接することが出来るように、父親をはじめとした家族や周囲の人たちが積極的に育児に参加することが、予防につながるのではないでしょうか。そして、それを補う公的な育児サポートがあれば良いと思います。
母親1人に育児を負担させ、責任を負わせることが虐待を生むと思えてなりません。理解のない批判は孤立を産み、しわ寄せは罪のない子供に来ます。虐待のニュースに触れた人たちが、非難だけで終わらせないことを願います。
まとめ
まとめると…
- 過度なストレスが幾重にも重なることで、親は弱者である子どもを虐待する因子を本能的には持っていると考えられる。
- 動物学的にも、ヒトは霊長類には例がないほど、子が自立するまでに時間がかかり、その負担は過大である。
- 加えて社会的な要因である「貧困」「孤立」のストレスは高く、その負担は女性に偏りがちである…
- そうしないためにも、父親はもちろんのこと周囲のサポートが必要なのである。
ということが、言える…。
宮崎議員がなぜ許されないのか?
折しも、イクメン・宮崎議員の不倫騒動による議員辞職が今日報道された。 なぜ、彼に反発があそこまでいくかというと、上記のようなストレスを女性は抱え、妊娠・出産・育児を迎えるわけです。
その時に一番サポートしなければならない父親が、他の女性と不倫をしておいて、「何が育児支援だ💢」「何が高い志だ💢」という感情になるわけである…。彼は、自分のことを守ることで精一杯で、まだ気付けてもいないだろうが…(-_-)
そういった意味で、別記事「ゲス不倫・宮崎議員は辞職表明すら薄っぺらく見えてしまう…⁉️」では書いたが、私も世間も許せないのだ。ましてや、世の女性は彼を絶対に許すはずがない…
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<掲載ブログ>
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<推薦図書>
自らは病気の自覚のない、精神を病んだ人を説得して医療につなげてきた著者の許には、万策尽きて疲れ果てた親がやってくる。過度の教育圧力に潰れたエリートの息子、酒に溺れて親に刃物を向ける男、母親を奴隷扱いし、ゴミに埋もれて生活する娘……。究極の育児・教育の失敗ともいえる事例から見えてくることを分析し、その対策を検討する。現代人必読、衝撃のノンフィクション。
書籍名:「子供を殺してください」という親たち (新潮文庫)
著者名:押川 剛