名古屋市議会の議員報酬UP…
あまり大きな話題にもなっていないのが不思議なのだが…、議員報酬の増額が検討されている名古屋市議会で、増額案が3月8日の議会にかけられ、委員会で審議せず、議場での強行採決で決められることになった…
元々、名古屋市議会議員報酬は1630万円も有りましたが、それを圧倒的な民意で河村市長が年800万円に引き下げられたという経緯がある。今回の報酬引き上げは、下げられた分を元に戻すという口実で行われた物で、民意を全く無視している格好なわけだ…
経営感覚・人事感覚でいうと…
普段人事を担当している者として、その感覚で意見するならば、以下の点で、不可思議を強く感じる。
- 人件費800万円までの人材で十分という市長の意向を、議員が無視した点
- そもそも議員報酬が成果に応じず一律であるという点
の2点である。あわせて、この議会では、現状75議席ある議席数を68席まで減らす条例改正案も提出された。これが、何を指し示すかというと、
- 俺たちは、もっと報酬を貰っていいはずだ。
- 議席数減らして総人件費はいくらか削減するから別にいいでしょ。
ということが、まかり通ったわけなのだ。詳しく述べたい…⬇️
市長の意向を議員が無視した…
まず、経営感覚でいうと、市長というのは民間会社でいうところの代表取締役であろう。会社のオーナーである株主から経営を付託され、経営の義務・責任を担う役割だ。今回のケースでいうと、いわば代表取締役である河村市長は、オーナーである市民への公約として、議員報酬を800万円で十分と公言し、市民から市長職を付託されたわけである。それを従業員である議員が勝手に、それでは不服だと一気に650万円引き上げたのだ。会社ではまずありえない光景だ。従業員がもっと報酬が欲しいといって、勝手に多数決したのであれば、経営はたまったもんじゃない。成り立たなくなるからだ。
もちろん議員の報酬が800万円で妥当か否かについては、疑義あるところだと思う。が、言って見れば、求人の募集が800万円で出されていて、それに納得した議員が応募しているのだから、今更いうべきことではない。報酬800万円に不服であれば、他の求人に向かえばいいと最初から言っているし、オーナー自体がその選択をしたのだから…
採用については、需要と供給により変動するが、市の方向性を決める・判断するという職務に対し800万円という報酬金額でも、人が採用できたのは事実なのである。加えて、7議席不要だということは、7人分余剰であって、そんなに人数が居なくても十分ですよということを言っているのだ。となると、少なくとも800万円×68(75-7)名=5億4400万円の総人件費で、実質的には経営はできるのだ。無駄に雇い人件費を増やす必要はない。しかもそれはオーナーである名古屋市民の懐から徴収した税金を使ってなのだから、オーナーは黙っていられないだろう。従業員の私利私欲により、経営財源を奪われるのだから…
議員報酬が成果に応じず一律である…
そもそもではあるが、人事的見解でいうと議員報酬が成果に応じず一律であるというのも違和感が残る。先ほども述べた通り、議員報酬が800万円で妥当か否かについては、疑義が残るところである。何百万人の生活を経営する議員の報酬が、一般企業の部課長程度となると、それ以上の見識や経験を求め、より高い報酬であってもその専門性に期待したいという市民がいるのも確かであろう。
一方で、議員は玉石混合であり、800万円という報酬の価値を持ち得ない議員もたくさんいることであろう。身近な例で恐縮ではあるが、私の大学時代の先輩が、ある市で市議会委員をしている。直前までフリーターをしていたが、なんの見識も持たないまま、立候補しラッキーなことに当選してしまった。口は達者であったので、納得もできる…
私が勤務する会社の若手社員25歳が、就業3年を機に退職し、同じく市議会議員に立候補し、これまたラッキーなことに当選してしまった。若いということと、ルックスがいいことがプラスに評されたのであろう…。正直、この2名は企業でいうと報酬800万円の価値はない。若手社員は退職時の年収は400万円台だった。果たして市議会議員になれば、すぐにパフォーマンスが上がるかというとそうではないであろう。
国政に於いても同様のことがいえ、比例代表という仕組みを取り言えているが故に、古くは杉村太蔵や最近では宮崎謙介といった、報酬に見合わないパフォーマンスの議員も多数いるのであろう。では、市議会議員や国会議員も、きちんと評価する仕組みを入れ、成果に応じた報酬設定にするのはどうなのだろうか…?
政治に対し、見識・情報・信頼・行動をもった議員もたくさんいることであろう。結果市政に対し成果をもたらすのであれば、確かに年800万円という報酬額は不相応かもしえず、市民もそういう議員には、高い報酬を税として支払っても納得度合いが高いのではないだろうか。同様に、初めて選挙に当選した市議会議員には、確実に年800万円も不要であろう。なにせ、最初は勉強ばかりで、ろくな成果は出せないからだ…
最低な輩たち…💢
上記の通り、7議席不要と考えた場合には、名古屋市の妥当な総人件費は5億4400万円となる。これを現議席75議席で割ると、一人あたり725万円だ。一人あたり725万円で十分なことを、この強行採決によって、一人あたり1455万円に引き上げられるわけだ。これは2倍以上の報酬となる。名古屋市民の方は、ぜひこれからの市政に強い関心を持っていただきたい!なんせ、議員はこれから2倍のパフォーマンスを出すと公言したのだから…
公言した=強行採決した輩は、以下のとおり…。2倍のパフォーマンスを出せないのであれば、次の選挙で落選してください。それが、経営を無視し、私利私欲に走った責務です…
【自民】
- 渡辺義郎
- 伊神邦彦
- 岡本善博
- 中川貴元
- ふじた和秀
- 丹羽ひろし
- 小出昭司
- 岩本たかひろ
- 斉藤たかお
- 松井よしのり
- 成田たかゆき
- 浅井正仁
- 北野よしはる
- 横井利明
- 中田ちづこ
- 藤沢ただまさ
- 坂野公壽
- 中里高之
- 西川ひさし
- 吉田茂
- 浅野有
- 服部しんのすけ
【民主】
【公明】
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<推薦図書>
日本の議員はなぜ高給取りになったのか?その源は、戦後まもなく施行された国会法第35条にあった。曰く『議員は、一般職の国家公務員の最高の給料額より少くない歳費を受ける』。言い換えれば「国会議員の給料が上がらなければ官僚の給料も上がらない」―。かくして、役人と議員による高給高待遇路線は始まった。流れは地方議員にも波及し、さらに「議員特権」という手当によって膨れ上がった。本書では、この異常事態の現状を具体的に示す。そして、是正されない理由を「党議拘束」という日本独自のシステムから読み解き、その解決策も提示する。
書籍名:この国は議員にいくら使うのか―高給優遇、特権多数にして「非常勤」の不思議 (角川SSC新書)
著者名:河村 たかし