男が育休を取ったら気づけたこと

男が育休を取ったら気づけた育児の楽しさ・苦労・コツを感ずるままに書き綴ります。


少子化の何が問題なのか?なぜ少子化になるのか?

15歳未満人口が35年連続で減少…

記事「【マジでヤバイ】15歳未満人口が35年連続で減少…」では、35年連続して減少する15歳未満の人口数について、警鐘を鳴らした。今回は、ただ危機感を煽るだけではなく、その原因はなんなのか、そしてどのような対策が有効なのかについて、自分なりの見解を述べたいと思う。というのも、普段は人事の仕事をしていて、労働人口の傾向を把握し、常々未来に向け、リスク回避や対策を実行する立場にあるが、この大きな流れは一企業だけでは解決までのスピード感が遅く、国や社会レベルで物事を考えないと取り返しのつかない状態になるからだ。いや、既に取り返しのつかない状態にはなっていて、むしろどこまでリカバリ出来るかでしかないのかもしれない。が、何もせず、破滅の道を辿るよりは、いくらかはマシだと思うのだ…

 

少子化の何が問題なのか…

まず少子化の何が問題なのかについて言及したい。これについては何度か触れているが、若年層が高齢層を養う構造が硬直し、その負担度合いが少子化が続くと、更に増すのだ。そもそも社会保障の根本的な考え方は、働ける人がお金を拠出し、そのお金で働けない人を養おうという考えなので、前提は働ける人と働けない人の比率は一律でなければ成り立たない。が、しかし国はこの比率をコントロールできずにいる…
 
少子化の問題は、結果として本質的には人口減少という問題を生む。特に労働人口であり消費学も大きい年代の減少は、経済を停滞させるのだ。例としてあげるならば、過疎化の進んだ地方都市をイメージするといい。商店街はシャッターがしまった店が並び、労働する人も消費する人もいないため、互いに悪循環をたどり、街自体が廃れていく。日本全体がこのような状況に徐々になっているといえばわかりやすいだろうか…。
 
問題は経済だけにとどまらない。経済が停滞するということは、政治的な国際競争力も失うことも意味する。現在の日本が、アメリカ、中国、ロシア、韓国、北朝鮮などとの外交において、歴史的な背景事実や国際法観点がありつつも制御ができないかというと、経済的な強さがないからだ。消費者が減っているためマーケットとして魅力を欠くばかりでなく、各国が自国商品・サービスを強化する中においては、わざわざ日本の商品・サービスを得るほどまではかつての魅力がなくなっているのだろう…。働き手すら減っているのだから、当然である。
 

過去の栄光を引きずる日本人…

この経済状況を知らない日本人が未だに多いというのも問題だ。かつての戦後復興期に世界2位の経済大国だった過去の栄光を日本人全体が引きずっているのだ。皆さんは、日本の経済成長率が世界で何位かをご存知だろうか?未だに2位くらいと思っている人が多いのではないだろうか…。中国に抜かれ3位くらいだとか思っていやしないだろうか…。不景気なので、そこまでとは言わずとも10位くらいかと思っていらっしゃる方も多いかもしれない。残念ながら、もはやそんな状態でもない。経済成長率において、日本は世界で今や162位(2015年)という地位にあるのだ…。経済成長率の比率でいうと、0.4%ほどの成長でしかない。よく比較される中国が7%ほどの成長なので、その差は17倍もあるということを認識しなければならない。そして経済成長率が上位の国は総じて人口が伸びているのだ…
 
 

結果、悪循環を辿る日本…

このような状況下において、当然ながら給与は横ばいである。そして支出はというと、前述のとおり、社会保険料、税金ともに軒並み上がっており、実質可処分所得は徐々に減っているのが現状だ。それだけではない、物価自体は経済成長率とは無関係に毎年1〜2%ほど上がっている。これは日本が食料やエネルギーなどの資源を持たない国であり、輸入価格の高騰によりそのまま影響を受ける構造にある。そして金利空前絶後の低金利時代であり、0.01%だなんて銀行預金なんてもはや意味をなしていない。例をあげると、今年なら100万円で購入できるもの(例えば軽自動車)が、来年には物価は上がり101〜102万円になっているのに対し、銀行に預けた結果は、100万100円にしか金利がつかない状態なのだ…
 

なぜ結婚をしないのか…

ここまで書くと、日本の良くない状況が少しお分かりいただけたのではないかと思う。発端がどこなのかはわからない。昔のように皆が結婚し子供を産むことが当たり前だった風潮が、いつの間にかなくなっているのは事実あるかと思う。これは経済的な理由だけではなく、個性を尊重した生き方が大切になったからというのも一因かと思える。女性が普通に働きに出るようになり、女性が結婚以外の生き方を選択肢に持ったとも言える。
 
その上で、結婚適齢期層の生涯における可処分所得が減っていることが要因として考えられる。一説によると、今の高齢者層(70〜80代)と20代では、生涯の可処分所得が1億円以上も違いがあるという説もある。あながち間違いでもなく、額はともかく大きく下回っていることに間違いはない。当然ながら、自分が生活するもしくは生きていくだけで精一杯のなか、結婚など考えられない男性も多いのではないだろうか?そして年功序列である程度生活の先行きが見えた時代とは異なり、女性が男性を選択する視点も、収入や安定性を重視するが故に、結婚に踏み切れないことも増えていることであろう…
 
結果ご存知の通り、結婚しない若者がどんどんと増えているのだ。下記グラフは国勢調査の結果だが、結婚適齢期と言われ男女25〜34歳の未婚率の推移である。ご覧の通り明らかに未婚率が増加しているのは、上記の通り、女性の価値観が変わったことと結婚ができる収入や安定性が持ち得ないことが原因であると推察する。あくまで仮説ではあるが、その確度は高いとも思う。
 
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一度に、原因から対策まで記事にしようと思ったが、思いの他長文になってしまったので、続きはまたの機会にしたいと思う。続きでは、出産率の低下の原因から、ふまえてどのような対策が取れるかについて、私見を述べたいと思います…
 

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<推薦図書>

さまざまな対策が実施されているにもかかわらず、少子化が止まらない日本社会。政府や企業、地方自治体によって行われてきた少子化対策について、主に経済学の視点からその有効性と問題点を検証し、持続的社会を実現するために必要な施策を提示する。

書籍名:少子化は止められるか? -- 政策課題と今後のあり方 
著者名:阿部 正浩